2010年JPAレスキューパラシュートリガー検定会

開催日程:2010/03/09-10    開催地:栃木県宇都宮    リポート:JPA教育事業部 岡田 直久


 

 

3月9日(火)

ぐっと冷えた朝を迎えました。昨日のうちにすべての準備を済ませていましたので、集合し次第開始となりました。

まずは教育事業部担当理事である谷田さんからごあいさつをいただきました。今季、保険環境が良くなったのも、このリガー制度によるところが多くあります。JPA設立当初から妥協なく続けてきた成果ともいえます。

 

さて、そして講習へ。今回は私のスカイダイビングのインストラクターでもあり、またアメリカにリガー検定を受けに行く前にトレーニングをしていただいた松本さんに特別講師としてお越しいただきました。JPAでは私、只野の2名がリガー研修会の講師として活動させていただいていますが、私たちの意識を定期的にリフレッシュをする意味でも、今回の松本さんのご協力はありがたい限りです。

 

どのようにパックをするかというのは、どのようにそのパラシュートを開かせたいかということから逆算します。とかく方法に意識が集中しがちですが、なぜそのような作業をしているかわかっていないとトラブルにもつながりかねません。私たち講師も、参加されたみなさんの意識を方法ばかりに集中してしまわぬよう気をつけました。理屈、理論さえわかれば方法や改善策、そして応用させる方法はすぐに見つかります。現存するエンビロープ、4フラップふたつのタイプのコンテナへの収納までをすべてデモンストレーションしたところで、みなさん実技に取り掛かりました。

 

検定会の参加条件として事前に5個、JPAリガーのもとでパックをしてくることになっています。基本的なことはみなさんできるので、よりなぜそのようなことをするかという問いかけを常にしながら作業を行いました。JPAではスクール間のこのような協力もあり、研修会はより効果の高いものとなっています。

 

今日の課題はインナーバックまでの収納を5個。ラインのストーを10回。そして絡まったパラシュートの対処法です。規定の数をパックしなければいけませんが、1つ1つ妥協は許されません。長時間の研修会のため、途中集中力も途切れそうになりますが、1つ1つ満足のいくパックができるまで作業を繰り返しました。ようやく1人目の方の作業が終えたのが19時。全員の作業を終えた時は21時を回っていました。

 

レスキューパラシュートのこのようなリガー制度は世界を見回してもこのJPAにしか存在しません。そこまで厳しくする必要があるのかとも思いますが、このレスキューパラシュートを使用する時は大げさにいえば生死を分ける局面であるわけです。であればそのような時に後悔をしないようにするためには、それ相応の厳しさ、辛さが必要となります。ちょっと練習しただけでパックをする資格がもらえるものではありません。


明日も8時半から菊沢コミュニティーセンター(栃木県鹿沼市)で開始します。

 

  講師 :  松本 亨
(Craft Rigging代表 USPA Skydiving Instructor、FAA Master Parachute Rigger)
  岡田 直久
(FAA Parachute Rigeer)
  協力 :  スカイパーク宇都宮

 

 

3月10日(水)

会場がオープンとなる8時半にはみなさん集合。すぐに昨日の反省点、そして今日の課題の説明へ。昨日、インナーバックまでへの収納は十分行えたので、今日はハーネスへの収納を重点的に行います。

 

いくら良いパックをしても最終的にはハーネスから引き出せないことにはどうしようもありません。現在、ヨーロッパで問題のなっている点、そしてその改善策をみなさんにも理解していただきながら、では実際にどうすればいいのかということを講習。今回も実際にデモンストレーションし、そして質疑応答ののちにみなさん実技開始です。まずは3個、確実に行うことが目標です。作業に対する理解度を深める意味で、各自ハーネスを交換し普段あまり扱ったことのないハーネスで作業をします。自分のハーネスであれば慣れで作業をしてしまうこともあるので、注意が必要です。昨日から言い続けていることですが、大切のは手先の方法ばかりにとらわれず、なぜそのようなことをするか、こういう結果をだしたいからこうしたいということを考えなければなりません。

 

3回様々なタイプのハーネスへ収納することでやはり理解度が高まってきました。自分のハーネスではないとうことも緊張感を高めたと思います。夕方、ようやく予定を終了。休憩は2日間通してほとんどありませんが、休むことなく学科講習、学科試験、そして実技試験へと続きます。リガーとして知っていなければならない知識を机上講習、そして学科試験を通じて学びます。すでにみなさん疲れはピークですが最後、気を引き締め実技試験へ臨みました。実技試験も今回まだパックしてないハーネスで行いました。応用力をすべて確認し、終了となりました。

 

2日間で20時間以上におよぶ講習となりましたが、それを通じてパックをする重要さ、そして怖さを理解していただけたのではないかと思います。最後に、今回、特別講師をお願いした松本さんより総括。良かった点、悪かった点を明快に客観的に述べていただきました。

 

リガー技能証を手にするとともに、リガーは責任をも手にすることになります。妥協せず、パイロットの安全のために頑張っていただければと思います。


 

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